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Lord of Magic Championships 2004


ロチェスタードラフト解説:第 1 ドラフト・第 2 ポッド

Written by 吉川祐輔

S.A.I.

S.A.I.=志村・有田・射場本。

今年のプロツアー・シアトルにおいて、堂々の第 3 位入賞を果たした精鋭ぞろいのチームである。

そのメンバー 3 人が、あのときの順番そのままに集結した第 1 ドラフト 2 番ポッド。その舞台において、彼らの戦績はそれぞれ 2-1、2-1、3-0。

まさに、ロチェスタードラフトにおいての協調がうまく作用した形と言えるだろう。

ここでは、彼らを迎え撃つ(?)立場となった 2002 年 Finals チャンピオン中村修平を含めて、彼らのドラフトを追ってみたい。ドラフトピック譜と合わせて、参考にしていただければ幸いである。

着席順は以下のとおり。

  1. 有留
  2. 志村
  3. 射場本
  4. 有田
  5. 渡辺
  6. 栗本
  7. 中村
  8. 今井

第 1~8 パック(序盤戦)

有留の《影の舞い/Dance of Shadows》からドラフトの幕が上がる。

S.A.I. の 3 人は志村《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster》→射場本《小走りの死神/Scuttling Death》→有田《浪人の犬師/Ronin Houndmaster》と配置を決める。中村は《不退転の意志/Indomitable Will》ともう 1 枚で白を固定。

しかし、中村が白の強い主張にもかかわらず白をつまみ食いされて苦しい立場に立たされるのに対し、S.A.I. 側は射場本が《霜投げ/Frostwielder》から黒赤に固定すれば有田が《秘教の抑制/Mystic Restraints》から青へスライド、とうまく立ち回っていく。

中村もすぐに白をあきらめ、青を中心としたピックに移行するが、それすらも踏み込まれ苦しいドラフトが続く。だがそれでも苦しいドラフトを続けるうち、青タッチ白という感じで居場所を確保した。

1 パックずつ開けた段階での色配置は大まかに以下の通り。

  1. 黒赤
  2. 白緑
  3. 黒赤
  4. 白赤青
  5. 赤緑
  6. 青白
  7. 緑赤?

第 9~16 パック(中盤戦)

序盤で決まった隊列を保持したまま、安定したドラフトが進んでいく。2 色目が固定されていなかった 5 番席・渡辺が《飢えたるもの、卑堕硫/He Who Hungers》《汚れ/Befoul》から黒に参入し、いびつながらも配列ができた。この時点で有田は白青に移行している。

ピックを参照していただければお分かりと思うが、S.A.I. は的確な選択で確実なデッキを構築していく。このあたりの比較は非常に参考となると思う。色に固執することなく、かつ弱いカードに妥協することもない。経験から生み出されるバランスといえばそれまでだが、それこそがロチェスターにおける実力であり、その評価はその卓での信頼度に直結するのだ。

しかし、この過程では優良コモンこそ多く出現するものの、いわゆる爆弾レアが出現することはなかった。

中盤戦を終えて色は以下のようにほぼ固まった。

  1. 黒青
  2. 白緑
  3. 黒赤
  4. 白青
  5. 緑黒(赤)
  6. 赤緑
  7. 青白
  8. 緑青(赤)

第 17~24 パック(終盤戦)

色を青の準単色に絞っていた中村だが、白いカードの質と量に不安を感じたか、3 周目 1 パ ックで黒いカードに手を出し始める。黒は卓に既に 4 人いるため、数字上は不適当なのだが、中村を中心に周囲 3 人(彼自身を含む)は黒を取っていないため、カードがあまり始めていたのを感じ取っての選択となるだろう。

しかしそれとは裏腹にというか、直後から青の強力カードが手に入り始める。のちに射場本が「中修せこいー」と名指しで振り返ったように、このあたりは苦労して作った流れが味方したといえるのだろう。

有田が自らのパックで《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を手に入れ、本人曰く「卓最弱」というまとまってはいるが小粒なデッキに芯が入った。続いて栗山(6 番席)のところで《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》が出現するが、これは栗山自身がカット気味にピック。ドラゴンを手に入れられなかった中村は仕方ないかと《義理に縛られし者、長雄/Nagao, Bound by Honor》を手にするが、これは本人によると「レアリティにだまされた」ミスピックであったという。たしかに《義理に縛られし者、長雄》は強力ではあるのだが、ほとんど青中心の中村のデッキでは《狐の刃遣い》の守備力を重視すべきだったという。終盤ともなれば、デッキの方向性に応じたカード選択が必要になるのだ。

最終的な結果は冒頭にある通りである。

ロチェスタードラフトでは協調をしなければならない、というのは実は必ずしも正しくない。あくまで、「自分が勝つために」協調をしなければならないのだ。協調を破らなければ自分が勝てない、と判断した場合はその限りではない。

ではなぜ、協調が基本的には必要とされるか。さほど影響のない、普通のパワーのカードをカットした場合、それは自分にとってプラスにならず、自分のごく周囲にのみマイナスをふりまくことになるからだ。報復は報復を招き、さらにデッキパワーは低下する。結果、影響の及ばない反対側のプレイヤーに遅れを取る。それは、このドラフトの結果が証明していることなのだ。

色をかぶせに行くことはすべてが悪というわけではない。しかし、覚悟を持って行われるべきことなのである。だから、「ロチェスターでは協調をしろ」ということなのだ。

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