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Lord of Magic Championships 2004


LoM 戦前記事:環境激変!? どーなんだ、神河?!

Written by 小堺透雄

新エキスパンションの試金石、LoM が今年もやってきました。

オンスロートがスタンダードから抜け落ち、新たに展開されるのは神河ワールド。そう、様々な伝説と、秘儀とスピリットと狐とネズミの世界なのです。

……狐とネズミ?

と、いうわけで。

まずは初期段階で『鉄板』と噂の高いいくつかのデッキに、真実と現状とか、実はそーなんだ! みたいな角度で迫ってみたいと思います。ライブ記事が始まるまで、ごゆるりとお楽しみくださいませ。

どーなんだ?! 神河

Psychatog
環境を支配するクリーチャーは、神河で誕生するのだろうか

いきなりなタイトルで申し訳ないですが、最初にカードリストを見た瞬間の感想は皆さんこんな感じだったかと思います。

カードの内容で言うなれば『マジメなカード』が多かったオンスロートブロック。要するに『トーナメント向けのカードが多かった』と言えるのですが、神河物語に限っての話をすると、かなりリミテッドに比重を傾けた構成だなぁというのがデッキを作ろうとした時の実感です。

さて、ここで問題です。

同じオンスロートですが、“レギオン”の中にオンスロートブロックの中核を成すカードが少なく、“オンスロート”と“スカージ”に鍵となるトーナメントカードが多かったのはなぜでしょう?

この謎を解く鍵になるのは、『環境のソリューションとなるのはどんなカードか』という点です。

前環境のいくつかのデッキのキーカードにスポットライトを当てて考えてみましょう。

親和はパーツ全体。ゴブリンもゴブリン全体。ゴブリン召集には《総帥の召集/Patriarch's Bidding》。青白コントロールには《正義の命令/Decree of Justice》《神の怒り/Wrath of God》《アクローマの復讐/Akroma's Vengeance》。トロンには《歯と爪/Tooth and Nail》。デスクラウドは、その名の通り《死の雲/Death Cloud》。エターナルスライドは《霊体の地滑り/Astral Slide》……。

それぞれのデッキのキモを挙げていくと、解答が浮かび上がってきます。

結局のところ、環境を支配するのは『クリーチャー』ではなく『呪文』なんです。

例えば。クリーチャーの性能と、脇を固めるカードの強さと全体のシナジーで圧倒的な爆発力を誇る親和は、特定のキーカードに極度に依存した構成というわけでもなく、デッキを 100%ぶつけてくるタイプであり、鍵とも言われる《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》も、《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》ありきのカードであり、親和以外のデッキでは活躍できない点からも環境の解答とは言えないでしょう。

また、ゴブリンも親和と同じで、その性質が違うだけに過ぎません。

しかし、《神の怒り》《正義の命令》《アクローマの復讐》《死の雲》などは、いくつかのタイプのデッキで有用な働きを期待できて、なおかつ環境に対しての回答を持ち合わせている……。

わたしは、これまでの 8 年余りのキャリアの中で、『環境を支配した』と思えるほどの活躍をしたクリーチャーは、《サイカトグ/Psychatog》だけだったのではないかと記憶しています。

それほどまでに、実は特定のクリーチャーが環境に投げ掛けるインパクトは大きくはないのです。

それが『特定のクリーチャーでGo!』と叫んでいる、レジェンド天国の神河物語に対しての、漠然とした『どーなんだ?! 感』の正体かと思います。そして、冒頭のタイトルに続くわけでありまして。

ただ、可能性が全く見込めないわけではありません。

『環境を支配した』クリーチャーは数少ないですが、『一世を風靡した』クリーチャーならば、枚挙に暇がありません。また、クリーチャーだけでなく強力な呪文も多くそろっているので悲観まではしなくても良さそうです。

しばらくは、神河を主眼に据えたデッキというよりも、前環境を引き継いだ『生き残り』のデッキが環境を席巻するとは思いますが、まだスタートなので思い切ってバンバンとアイデア勝負で行ってほしいという、個人的な願望もあり。

さて。ここからは、実際にいくつかのサンプルデッキを使ってお話を進めていきましょう。

鉄板

本文の最初で予告した通り、まずは鉄板デッキを 3 つほど。

前環境の主力デッキから、オンスロートの退場による壊滅的な打撃を受けた『青白コントロール』『ゴブリン』など、いくつかのタイプが存続の危機に瀕してるなか、その反面、影響が薄い、もしくはまったくないデッキというのもありまして。

Affinity
 4  電結の働き手/Arcbound Worker
 4  大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault
 4  電結の荒廃者/Arcbound Ravager
 4  金属ガエル/Frogmite
 3  マイアの処罰者/Myr Enforcer
 3  厳粛な空護り/Somber Hoverguard

22 Creatures 4 物読み/Thoughtcast 4 静電気の稲妻/Electrostatic Bolt 3 頭蓋囲い/Cranial Plating 3 彩色の宝球/Chromatic Sphere 4 爆片破/Shrapnel Blast
18 Spells 4 大焼炉/Great Furnace 4 囁きの大霊堂/Vault of Whispers 4 教議会の座席/Seat of the Synod 4 ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus 4 空僻地/Glimmervoid
20 Land 60 Total Cards
 3  マイアの回収者/Myr Retriever
 3  秘宝の障壁/Relic Barrier
 3  溶接の壺/Welding Jar
 3  粉砕/Shatter
 3  マナ漏出/Mana Leak

15 Sideboard Cards

鉄板と言えば、やっぱり親和です。

Electrostatic Bolt
鉄板

オンスロート退場の影響をまったく受けなかったデッキの大将格ですが、デッキのシナジーがカチカチに固まってるがゆえに、神河物語導入の恩恵もほとんど受けてないのも親和らしいと言えば親和らしいところです。

予想される対抗デッキとしては、《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》を使った素早いコンボデッキや、強力なアタッカーであると共に、親和キラーの性能も兼ね備える《死者の嘆き、崩老卑/Horobi, Death's Wail》など。そして、さらに増えるであろう同系対決……。

いろいろ調整を施してはみましたが、無理に神河のカードを投入するよりも素直に《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》を加えた方が強いという結論に達してしまいまして。まさに『鉄板な』構成にならざるを得ないのが、スタート地点の雑感です。

トロン
 4  桜族の長老/Sakura-Tribe Elder
 3  永遠の証人/Eternal Witness
 3  真面目な身代わり/Solemn Simulacrum
 2  潮の星、京河/Keiga, the Tide Star
 1  隔離するタイタン/Sundering Titan
 1  ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus

14 Creatures 4 森の占術/Sylvan Scrying 4 刈り取りと種まき/Reap and Sow 4 歯と爪/Tooth and Nail 3 紅蓮地獄/Pyroclasm 2 火の玉/Fireball 1 粗野な覚醒/Rude Awakening 3 忘却石/Oblivion Stone
21 Spells 8 森/Forest 2 山/Mountain 4 ウルザの塔/Urza's Tower 4 ウルザの鉱山/Urza's Mine 4 ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant 1 すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All
23 Land 58 Total Cards
 4  酸化/Oxidize
 4  帰化/Naturalize
 3  横殴り/Sideswipe
 2  精神隷属器/Mindslaver
 1  紅蓮地獄/Pyroclasm
 1  すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All

15 Sideboard Cards

Fireball
決まり手は一つとは限らない

神河物語の中で、最初から高い評価と注目を集めている黒いソーサリー《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》

このカードによって、特定のキーカードに依存するデッキの確立は難しいのではないかというのが大まかな流れで、その矢面に真っ先に立たされたのがウルザトロンです。

《歯と爪》を抜けばいい。

そう考えるのが自然な流れですが、トロンはデッキ構成そのものが爆発的なマナを生み出す構造になっている事から、『《歯と爪》がなくても戦える』『マナベースにサポートされた別の勝ち手段を用意する』という 2 つの条件を満たせば、ちょっとした出口が見えてきます。

メタが進んで《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》が増えれば、《横殴り/Sideswipe》もこれから先、たびたび見掛けるサイドカードになりそうです。

Red Control
 4  かまどの神/Hearth Kami
 4  真面目な身代わり/Solemn Simulacrum
 4  弧炎撒き/Arc-Slogger
 2  山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi
 2  降る星、流星/Ryusei, the Falling Star

16 Creatures 4 静電気の稲妻/Electrostatic Bolt 4 火山の鎚/Volcanic Hammer 4 石の雨/Stone Rain 4 溶鉄の雨/Molten Rain 4 破砕/Demolish 2 金属モックス/Chrome Mox
22 Spells 14 山/Mountain 4 ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus 4 隠れ石/Stalking Stones
22 Land 60 Total Cards
 4  選別の秤/Culling Scales
 4  粉砕/Shatter
 4  紅蓮地獄/Pyroclasm
 3  罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher

15 Sideboard Cards

Hearth Kami
神、降臨

ビッグレッドの亜種として、コントロール系デッキと親和に対して耐性のあるランデスも、『鉄板組』の仲間に入れておきましょう。

ゴブリンが環境から抜け落ちて、赤いデッキの生き残る可能性はコントロールとバーンに絞られた感があります。もしくは、赤黒など他の色のサポートに回る機会が多くなるとも考えられます。

神河物語から得た追加戦力は、《かまどの神/Hearth Kami》《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》《降る星、流星/Ryusei, the Falling Star》《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》など、失った《刃の翼ロリックス/Rorix Bladewing》などと比較しても遜色ありません。

特に《かまどの神》は他の赤系デッキや赤緑のクリーチャーデッキなどでも活躍が期待でき、赤は久々に 2 マナ圏のユーティリティークリーチャーを手に入れたことになります。

親和に対しては『2 マナの土地破壊』としても機能する側面があり、《炎歩スリス/Slith Firewalker》に代わって、もしくは両方を採用したビートダウンという可能性も期待できそうです。

鉄板とは言えないけれど……

Full Burn
 4  真面目な身代わり/Solemn Simulacrum
 3  弧炎撒き/Arc-Slogger

7 Creatures 4 溶岩の撃ち込み/Lava Spike 4 ショック/Shock 4 マグマの噴流/Magma Jet 4 氷河の光線/Glacial Ray 4 爆片破/Shrapnel Blast 4 火山の鎚/Volcanic Hammer 3 紅蓮地獄/Pyroclasm 2 溶鉱炉の脈動/Pulse of the Forge
29 Spells 16 山/Mountain 4 ダークスティールの城塞/Darksteel Citadel 4 ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus
24 Land 60 Total Cards
 4  静電気の稲妻/Electrostatic Bolt
 4  罠の橋/Ensnaring Bridge
 4  粉砕/Shatter
 3  選別の秤/Culling Scales

15 Sideboard Cards

Circle of Protection: Red
いないと信じたい

神河のリストを見た瞬間、誰もが一度は組んでみたいと思ったデッキ。その 1。

《溶岩の撃ち込み/Lava Spike》は、かつてのウルザスデスティニーに収録されていた《火炎噴流/Flame Jet》をほうふつとさせます。

「本体に 3 点」

と、叫んでいるだけで勝利が見えてくる。かも知れないぐらい、バーンデッキは夢があります。《氷河の光線/Glacial Ray》の連繋はオマケとして、アイス食べてもう一本貰えたらいいなぁぐらいに考えておくことにして、あまり積極的に狙う効果ではないとは思いますが、プラスアルファが見込めるのは、なにはともあれ良いことなので。

どこを切っても同じ展開。白系デッキがおとなしくなって《赤の防御円/Circle of Protection: Red》が少なくなるであろうというメタゲームを踏まえると、バーンも悪い選択肢では無いように思います。

Black Control
 4  真面目な身代わり/Solemn Simulacrum
 2  夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star

6 Creatures 4 困窮/Distress 4 夜の囁き/Night's Whisper 4 残響する衰微/Echoing Decay 4 魔性の教示者/Diabolic Tutor 3 忌まわしい笑い/Hideous Laughter 1 精神ヘドロ/Mind Sludge 2 魂の消耗/Consume Spirit 4 旅人のガラクタ/Wayfarer's Bauble 3 忘却石/Oblivion Stone 1 魂の裏切りの夜/Night of Souls' Betrayal
30 Spells 19 沼/Swamp 3 ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus 1 すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All 1 死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death's Storehouse
24 Land 60 Total Cards
 4  汚れ/Befoul
 3  肉体の奪取/Rend Flesh
 3  頭蓋の摘出/Cranial Extraction
 2  精神隷属器/Mindslaver
 1  魂の裏切りの夜/Night of Souls' Betrayal
 1  魂の消耗/Consume Spirit
 1  霊都の灯籠/Reito Lantern

15 Sideboard Cards
Death Cloud
 4  死者の嘆き、崩老卑/Horobi, Death's Wail
 4  真面目な身代わり/Solemn Simulacrum

8 Creatures 4 夜の囁き/Night's Whisper 4 静電気の稲妻/Electrostatic Bolt 3 忌まわしい笑い/Hideous Laughter 4 死の雲/Death Cloud 4 激憤の本殿/Honden of Infinite Rage 3 夜陰の本殿/Honden of Night's Reach 2 魂の裏切りの夜/Night of Souls' Betrayal 4 金属モックス/Chrome Mox 4 耽溺のタリスマン/Talisman of Indulgence
32 Spells 11 沼/Swamp 2 山/Mountain 4 アーボーグの火山/Urborg Volcano 2 灯籠の灯る墓地/Lantern-Lit Graveyard 1 死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death's Storehouse
20 Land 60 Total Cards
 4  困窮/Distress
 4  血塗られた悪姥/Wicked Akuba
 3  汚れ/Befoul
 2  頭蓋の摘出/Cranial Extraction
 1  すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All
 1  死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death's Storehouse

15 Sideboard Cards

Cranial Extraction
本当の力を見せるのは、もう少し先だろうか?

黒いデッキを2連発でお届けです。

まず、黒いカードが強い。

これが、構築における神河物語の基本線であるように思いますが、なぜそれを『鉄板』グループに入れなかったかというと、これが『黒いデッキ』だからです。

『黒いカードは強いけれど、黒いデッキは鉄板ではない』

一見矛盾した台詞は、デッキとしての『黒』を見た時にくっきりと際立ちます。

それは、黒いデッキはパーミッションではないにもかかわらず、リアクションデッキである事が理由です。

黒コンを中心とした『黒いデッキ』が活躍するのは、デッキの中に仕込んだメタカードをぶつけてカードパワーで圧倒していく形がほとんどですが、環境が始まったばかりの世界では、予想の範囲を超えたカードが散見されるのは火を見るより明らかな状況です。その中で十分な活躍が期待できるかというと、どんな綿密な調整をしても開幕戦に持って行くには厳しいと感じる所以です。

余談になりますが、私は黒コンが大好きです。

特にオンスロートブロック構築のシーズンには、それこそ猿のように黒コンを使い倒しましたが、長い事黒いデッキを使い続けていてたどり着いた一つの結論。

それがカードパワーとデッキパワーの違いと、黒いデッキはメタの隙間を紡ぐデッキであるという 2 点です。注目の《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》が本当に活躍するのはファイナルズ予選の頃からになるのでは、と考えています。

まもなく開幕

ともあれ、これら鉄板デッキに加えてサブで控えるデッキ群。さらに、《鏡割りのキキジキ》《禁忌の果樹園/Forbidden Orchard》《侵入警報/Intruder Alarm》などの、危険な香りのプンプンするコンボや、メタゲーム次第で今後見ることの多くなりそうなサイドボード用カード。

会場に集まった強豪達が選択したベストデッキは何か?

LoM を制するデッキは何か?

LoM カウントダウンはこれにて終了です。

今年も、夢の饗宴をあなたに。

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